陀々堂の鬼走り
念仏寺・陀々堂(奈良県五條市大津町)
日時 | 1月14日 21:00~22:00 |
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場所 | 念仏寺 |
問い合わせ | 五條市企業観光戦略課(TEL : 0747-22-4001) |
アクセス | 〒 : 637-0060 五條市大津町 【車】JR大和二見駅から車で約10分 【徒歩】JR大和二見駅から約30分 |
毎年1月14日、大津の念仏寺陀々堂では500年の伝統を誇る火の祭典「鬼走り」が行われます。
燃えさかるたいまつを振りかざした父鬼・母鬼・子鬼が堂内を歩き住民の災厄を払います。
鬼が幸いをもたらすのは各地でも珍しく、厳寒の中、多くの参拝者が訪れます。
平成7年には本市で初めて、国の重要無形民族文化財の指定を受けました。
1月14日午後9時、鬼走りの行者たちは、参拝人で埋め尽くされた境内の中央を、迎えの小たいまつを先頭にして入堂する。
やがて鐘の音を合図に僧達の早口の読経と、カタン、カタンという硬く乾いた棒打(ボウダ)の響き、火天(カッテ)役による「火伏の行(ひぶせのぎょう)」が始まる。
燃えさかるたいまつを肩にした火天は、ゆっくりしたスリ足で参詣人の前に姿を現す。そして火祭りの安全を願って、中空に向かってたいまつを水の字に振る。
火たいまつを天井高く差し上げては暗闇を引き裂かんばかりに振り降ろす火天の姿は、まさに不道明王の化身かとさえ映る。
かわせ(陀々堂では水天役をこう呼ぶ)は笹竹で桶から水を振りかけては火天がヤケドするのを防ぎ、床に落ちた火を消してまわる。
火天の荒行が終わると一瞬の静寂が流れいよいよ鬼の登場となる。
ヒバ(桧の生葉)をくすべた煙がもうもうと堂内に立ちこめる須弥壇裏の囲炉裏で発火寸前に暖められた大たいまつに、 差配(サハイ=指揮者)の「一番たいまつ点火」という緊張した声を合図に行者達は一斉に活動を始める。合間を見計らって二番、三番たいまつも火種が移される。
一番たいまつが佐役(スケ)の肩に乗せられ、右手に斧を持った赤鬼と共に正面北の戸口に走り出てくる。
狂ったように吼える法螺貝(ほらがい)、太鼓棒打と、強烈な音響を背景に、今まで暗かった堂内が赤々と照らし出され、鬼面が浮かび出る。
片腕、片膝でたいまつを受け取った赤鬼は、一瞬、天空に向かって斧を構えて静止し、火の粉を振りまきながら正面中央戸口に歩を進める。 後に、青鬼と二番たいまつが登場する。
赤鬼が中央から更に歩を進め正面南戸口で空を睨むとき、北の戸口には茶鬼が現れ三つのたいまつが並ぶ。
堂内は火の海と化し、炎は生き物となって天井をなめ、ひさしを這う。
火祭りは最高潮に達したのだ。
一番たいまつは再び佐役の肩に乗って須弥壇裏をまわり右戸口に姿を現す。
こうして三度堂内をまわった鬼は横戸口から境内に降り立ち、水天井戸に礼参りをして行事は終わる。